カイロプラクティックについて

カイロプラクティックは1895年(明治28年)、ダニエル・デビッド・パーマー(D・Dパーマー)によって創始されたアメリカ生まれの脊椎手技療法です。
カイロプラクティックはギリシャ語で「手技」という意味です。
D・Dパーマーは「聴覚障害のある男性の背骨を矯正したところ、聴力が回復した」という経験から、背骨と神経機能の密接な関係に注目しました。
カイロプラクティックは現在世界90カ国以上で実践され、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどでは国家資格として正式に医療体系に組み込まれており、背骨を整えることで神経系と自然治癒力に働きかける“構造医学”のひとつです。
カイロプラクティックの理論
カイロプラクティックでは【サブラクセーション=脊柱の問題が神経のトーン(周波数)を乱す原因】が生じることによってイネイトインテリジェンス(自然治癒力)の働きが悪くなり、神経伝達システム(脳と神経の情報ネットワーク)の伝達率が下がることで内臓機能や自律神経の働きなど身体に様々な不調が起こると考えています。
カイロプラクティックは骨のズレや歪みを矯正するのではなく、神経伝達システムの低下を起こしている脊椎レベルに対して手技で調整(アジャストメント)することで神経系の伝達を正常化し、身体の自己回復力を引き出します。
アジャストメントは神経が走る脊柱に対して素早い衝撃(インパルス)を加えることで神経系伝達の流れを正常に戻すイロプラクティック特有の刺激方法です。
ボキボキと音は鳴りますがしっかり訓練を受けたカイロプラクターのアジャストメントであればまったく痛みを感じることはなく、ただ関節をボキボキ鳴らす方法とはまったく意味合いが異なります。
脊柱に流れる神経のバランスに注目
カイロプラクティックは主に脊柱に流れる神経のバランスに注目します。
神経はカラダの中の電線みたいなものであり、体に感じた感覚を脳に伝え、その情報を各器官に伝える役割を果たしています。
カイロプラクティックでは神経の伝達バランスの乱れを脊柱の動きを介して、どの脊柱の神経レベルが悪くなっているかを見極めていきます。
背骨に対してアジャストメントという手技を行い、脊柱を介して神経に刺激を与えることでサブラクセーションを取り除きます。
そうすることで神経バランスが本来の状態へと戻り、自然治癒力の働きもスムーズになると共に脳の再認識・再構築を目指していきます。
アジャストメントの意味
カイロプラクティックが得意とするアジャストメントという手技は関節を通して神経系に働きかけ、その結果として低下した自然治癒力の働きが本来の状態へ戻っていきます。
カイロプラクティックはモーションパルペーションという検査方法で脊椎・四肢関節の動きを1つ1つ検査しながら可動域がどの方向で悪いか?細かく導き出し、可動域がスムーズになる方向へアジャストメントという矯正方法で脊椎・四肢関節の可動域を本来状の状態へ戻していきます。
そのため、関節を適当にバキバキ鳴らしているわけではなく関節可動域が悪い部分だけを選択してアジャストメントします。
痛みの伴わないソフトなアジャストメント(手技)
バキバキと全身の関節を鳴らすだけなら痛みを伴う力任せのやり方でも可能です。
しかし、それは関節をただ鳴らしているだけであり、本来のアジャストメントの意味合いとは異なります。
本来、カイロプラクティックが行うアジャストメント(矯正)は【科学・哲学・芸術】の三位一体のバランスから成り立つ力任せではない熟練された技術によるアート(芸術)です。
芸術的レベルまで昇華させたアジャストメント(矯正)は無駄のない動作で必要最小限の刺激で最大限に働きかけるため、不快な痛みを伴わず角度、スピード、テコの原理、たくさんの経験を積んですべてが1つに重なることで初めて成せるソフトな技術であります。
ホリスティック(全体性)なアプローチ
カイロプラクティックは「症状のある場所だけを見る」のではなく全身の構造と機能のバランスを重視します。
例えば腰痛が首のゆがみに起因していたり消化不良が胸椎の可動性低下と関係していることも。
筋骨格系・神経系・内臓系・心理的ストレスまで含めた統合的評価を行います。
カイロプラクティックには多くの流派が存在します
代表的なテクニックは素早いスラスト法で関節を矯正するディバーシファイド、ガンステッドテクニックなどです。
他にも器具を使って脊髄神経を整えるアクティベータメソッド、特殊なベッドを使って矯正するトムソンテクニック、ブロックを使ったSOTなどが代表的なカイロプラクティックテクニックです。
実際にはもっとたくさんの流派があり、日本にはまだ伝えられていないテクニックも存在しているようです。
当院では主にガンステッドテクニックやアクティベーター器具、四肢関節においてはドロップボードでのスラスト法でサブラクセーションを取り除き、自然治癒力の働きを本来の状態に戻していきます。
代表的なテクニックの紹介
カイロプラクティックは1つの手技だけでなく多くの流派が存在しており、各流派それぞれに違うアプローチ方法の手技が存在します。
ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
- ディバーシファイドテクニック
最も広く使われている手技で、いわゆる「ボキッ」と鳴る矯正です。
解剖学的・動作学的な評価を基に可動性低下のある関節に素早く正確な調整を加えます。 - ガンステッドテクニック
X線分析や姿勢観察、神経スコープなどを用いて科学的に背骨を分析し、特定の関節だけをピンポイントで調整する方法。高い精度と安全性を特徴とします。
- SOT(仙骨後頭骨テクニック)
頭蓋と仙骨の動きを通じて脳脊髄液の循環を整えるアプローチ。三角形の形をした特殊なブロックを使い、無理のない矯正が行えます。
- アクティベーター法
アクティベーターという振動器具を用いて、非常にソフトに関節や筋肉を刺激するテクニック。お子様や高齢者にも安心です。
- トムソン・ドロップテーブル
テーブルの一部が少しだけ落ちる構造になっており、その落下の瞬間を利用して骨盤や背骨を調整する方法。強い力を使わず安全に調整できます。
カイロプラクティックの臨床哲学
カイロプラクティックは医学的治療というより「健康を回復させる哲学と技術の体系」です。
身体には本来、治ろうとする力が備わっている神経の流れを妨げないことで、自然治癒力が最大限に発揮される
真の健康とは“症状がない”ことではなく、“身体全体が適切に働いている状態”である
このような考え方のもと、施術だけでなく日常の姿勢・運動・食事・ストレス管理などのライフスタイル全体への指導も重視します。
カイロプラクティックは、ただ「骨をならす」だけの技術ではありません。
構造と機能、神経と身体、心と健康をつなぐ「調和の科学」です。
痛みのケアだけでなく、疲れやすさ・パフォーマンス低下・不調の根本原因が気になる方にとっても、体の内側から整えるきっかけになります。
カイロプラクティックは「背骨と神経の調和」を通じてあなたの内なる健康力を目覚めさせる手技療法です。病気になる前の予防ケアとしても非常に有効です。
当院で使用するカイロプラクティックテクニック
ガンステッドテクニック
1日平均日200人のクライアントを観たと言われている伝説のカイロプラクターCS・ガンステッドによって考案されたカイロプラクティック最高峰と言われており、背骨や骨盤の歪み(サブラクセーション)を的確に見つけ、正確で、安全、そして的確な背骨の調整法です。
ガンステッド・テクニックは独自のレントゲン分析、自律神経論、専用のテーブルによる棘突起からのフルスパイン(全脊柱)矯正を行う習得するのが大変難しいテクニックです。
背骨(脊柱)の可動域が減少している部分に対してガンステッドテクニックによる矯正で関節を刺激することでその分節レベルにある神経バランスを整えていきます。
ガンステッドは自身がリウマチ熱で苦しんだ体験から、より正確で信頼できる矯正技術を追求し、1950年代に現在のシステムを完成させました。
身体の土台である骨盤と、そこに連なる背骨の「わずかな歪み」や「ねじれ」が神経の働きを妨げ、肩こり・腰痛・しびれ・自律神経の乱れなどの症状を引き起こします。
それを科学的な分析と正確な手技で整えるのがガンステッドテクニックの特徴です。
理論と哲学
ガンステッドテクニックの中核となる理論は以下の3点です
- サブラクセーション(関節の微細なズレ)による神経圧迫の除去
背骨のズレが神経の通り道を狭くし、局所の炎症や神経機能の低下を引き起こす。
→ 神経の通り道である椎間孔(神経根の出口)を圧迫しないよ、関節の構造と軸に忠実な調整が行われます。 - “骨の歪み”ではなく“椎間板の変性”が本質
背骨の問題は椎間板(クッション部分)の損傷から始まり、そこから骨がズレたり神経を圧迫すると考えます。
→ 痛みの「場所」よりも「問題の起点」を重視します。 - 最小限の矯正で最大限の効果
「必要な箇所だけを、最小の力で調整する」のが特徴。ボキボキ何度もならす手技とは異なり、1~2ヶ所に絞って丁寧にアプローチします。
特徴的な診断システム 5つの分析
ガンステッドでは「どの椎骨を、どの方向に、どのくらい矯正するか」を決定するために以下の5つの要素を用いて徹底的に評価します。
- 視診
姿勢・骨盤の傾き・左右の高さなどを視覚的に評価
- 触診(モーションパルペーション)
背骨の硬さ、熱感、圧痛、可動域などを手で確認
- X線分析
前後・側面・骨盤を含めた全脊柱X線を用いて、椎体の傾き・椎間板の厚み・退行変性を正確に測定
- ナーボスコープ
神経圧迫による局所的な温度変化を測定する機器で炎症や神経異常の有無を確認
四肢関節アプローチ
肩関節、肘関節、手首の関節、股関節、膝関節、足関節などを四肢関節と言います。
可動域が悪くなっている四肢関節に対して素早いインパルスによる刺激で可動域を改善させます。
当院では四肢関節の矯正に対してドロップボードを使ったアプローチを選択することが多いです。
アクティベーターメソッド
アクティベーターメソッドはカイロプラクティックの中でも特にやさしく、痛みの少ない施術法として世界中で広く使われているテクニックです。
従来の「ボキボキ」と音の鳴る施術とは違い、専用の器具「アクティベーター器」を使って、ごく短時間で微細な刺激を加えるのが特徴です。
アクティベーターという小さな器具で関節や筋肉にある固有受容器に「パチン」という素早い刺激を加えることで神経機能のバランスを整えます。
人間の関節は動く時に40~50Hz(ヘルツ)の震動が発生します。アクティベーターはその周波数に合わせた振動を関節や筋肉に送り込み神経機能を整えていきます。
このテクニックの良いところは…
- 「パチン」と素早い刺激を与えるため痛くない
- ピンポイントで関節を矯正するため正確に刺激が伝わる
- 軽い刺激なので小さなお子さん・老人・骨の弱い人でも安心・安全
- 神経の流れを見て施術するため施術効果がよく分かる
- ボキボキとするアジャストメント(矯正)が苦手な方でも安心して受けられる
理論 神経の反応を使って刺激部位を検出・矯正
アクティベーターメソッドの基本的な考え方は、神経の働きと体のバランスに注目することです。
体の一部にゆがみやズレがあると神経の伝達にも乱れが生じ、筋肉や内臓に影響を与えると考えられています。
このメソッドでは脚の長さの差や筋肉の反応を観察しながらどの部位にズレ(サブラクセーション)があるのかをチェックします。
テクニック 器具による「ピンポイント刺激」
施術では「アクティベーター器」と呼ばれるバネ仕掛けの小さな道具を使います。これは非常に速く、正確な力を一点に与えることができ、関節や神経に無理なく刺激を届けることができます。
この方法により、年齢や体の状態にかかわらず安心して受けられる施術が可能になります。特にお子様や高齢者、首などの敏感な部位にも適したアプローチとして選ばれています。
考え方 身体の自然な回復力を引き出す
アクティベーターメソッドの根本にあるのは「体は本来、バランスを取り戻す力を持っている」という考え方です。
過剰な力を加えることなく体が自ら正しい状態に戻ろうとする手助けをすることが目的です。
そのため、一人ひとりの状態に合わせて、丁寧に検査と施術を進めていきます。
このような方におすすめ
- ボキボキする施術が苦手な方
- デスクワークなどで体に慢性的な負担がある方
- スポーツ後の体のバランス調整
- お子様やご高齢の方へのソフトなケアをお探しの方
アクティベーター器具はデタラメにパチンッと刺激を入れるのではなくアクティベーターメソッドという理論に基づいて神経機能を整えるためのシステムが成り立っています。
近年はアクティベーター器具を使う施術院がとても多くなりましたが、アイソレーション、ストレス・プレッシャーテストなどのメソッドによる検査を行わないで適当にバチバチ打ち込んでいる施術院を多く見受けられます。
アクティベーター器具とメソッドはセットで初めて成り立つものであるため適当にバチバチ打ち込んでもあまり成果は挙がらないと個人的には感じます。
当整体ではガンステッドなどのバキバキと鳴るアジャストメントが苦手の方にアクティベーターメソッドを使用しています。
他にもキネシオロジーによる検査で導き出した部分へアクティベーターを使用することが現在では多くなってきました。
アプライドキネシオロジー
アプライドキネシオロジーはカイロプラクターであるジョージグットハートが考案した応用運動学をベースとしたテクニック・システムです。
MMT(筋肉機能評価テスト)によって弱化している筋肉を正常化させるために神経リンパ反射(チャップマン反射)・神経血管反射などカイロプラクティックに限らずオステオパシーの技法も多く取り入れ、さらには経絡などの東洋医学の考えも取り入れているため、カイロプラクティックの中においてはかなり異質のアプローチシステムです。
アプライドキネシオロジーについてはキネシオロジーのページで詳しく解説しています。
当院で行うカイロプラクティックテクニックの様々な手技はアプライドキネシオロジーに含まれたテクニックを多く採用しています。